幼稚園や保育園、認定こども園、児童デイサービスなどで、常に自分のやりたいことだけをして、我が道を行く子どもさんが、おられるのではないかと思います。声掛けをしてなかなか動かず、かといって腕をつかんで引っ張っていくわけにもいきません。
原因は何か?知的な発達の大きな遅れや自閉症などの発達障害ではないか?と考えられる方もおられるでしょう。
発達療育ではまず「障害以外」から原因を考えます。具体的には「普段の生活経験の中に原因があるのではないか?」と考えます。
そして、一番最初に考えられるのが、お家で「自分がやりたいこと以外のことをしていないのではないか?」つまり、「自分の思う通りにならない経験をしていないのではないか?」ということです。もし、お家でお父さん、お母さんが「子どもが自分のやりたいことをさせてあげよう」と考えて、自由に生活を送らせていたとしたら、幼稚園や保育園などの集団生活の中に入ったとしても、今まで他の人のことを考えたり、自分のやりたいこと以外のことをやるということをお家で経験していないとしたら、当然自分のやりたいことだけをするでしょう。
今までにも、楽しい広場の発達相談や幼稚園、こども園などを見学させていただいた時にも、実際にそういうお子さんはおられました。
もし、お母さんにお話を伺って、お家で自分のやりたいように過ごしているとしたら、普通に自分の思う通りにならない場面を経験させるようにアドバイスをするのが良いと思います。
例えば子どもさんが遊んでいて、お母さんがお買い物に行こうとするとき、「やだ、もっと遊びたい」と駄々をこねることがあると思います。そういう場面は普段の生活に必ず出てくるでしょうから、そういう場面を普通に経験するということです。
そうすると、生活する中では「自分がやりたいことだけができるわけではないんだ」ということが少しずつ分かってきます。それが、幼児期なりの適応行動(場面や状況に応じて適切に行動すること)につながっていくと考えられます。