子育て発達コラム「3才児から自分の行動をコントロールし始める」
- 崇弥 伊澤
- 10月27日
- 読了時間: 2分
発達心理学では、3才頃からどんどん伸びていく「自分で自分の行動をコントロール能力」を「自律性」と呼んでいます。
一般的に「自分で自分の行動をコントロールする」という場合、2種類あると考えられます。一つは「自分のため」、二つ目は「人とのかかわり方のため」
仏教の曹洞宗の大本山である永平寺では、長い間雲水(修行僧)の厳しい修行が行われています。映像や本などでその厳しさは伝わってきます。しかし「本当の修行は永平寺を出てからだ」とおっしゃる高僧がおられました。その意味は、「自由になってから自分の欲望、欲求をいかに調整し、コントロールしていくかが大事である」ということではないかと考えます。
実は、これは人間に皆に当てはまることだと思います。程度の差はあれ、修行という言葉を使うか、使わないかは別にして、人間死ぬまで、自分のために「自分の行動を自分でコントローしなければならないという」ことなのでしょう。
さて、今回幼児期の発達を語る上でお伝えしたいのが、二つ目の「人とのかかわり方」の方です。
3才というのは発達の重要な節目です。そのいろいろな発達の中で、「人の気持ちや回りの状況を感じ取って行動する」ことができるようになってきます。「人を見て行動する」ということです。そして更に、基本的な物事の意味や良し悪しが分かるようになってきます。
そういう中で、「ママが今はちょっと怖いから、お片づけしよう」「今はママがニコニコしているから、もう終わりと言われたけれどもう少し遊ぼう」というように、相手や状況を見ながら「自己抑制(待つ、我慢するなど)」や「自己主張」を使い分けることができるようになります。
これが人とのかかわり方の中での「自分で自分の行動をコントロールする」ということ、つまりは「自律性」ということになります。そして、これも社会の中で生きていくためには、人偏皆死ぬまで必要とされる能力でしょう。そしてその大事な能力は、3才から始まるということなのです。
さて、この自律性を伸ばす上で、欠くことができない経験があります。それが「待つ」「我慢する」などの自己抑制の経験です。これまでの発達相談に来られたお子さんの中にもお家で「待つ」「我慢する」経験が際立って少ないというお子さんがたくさんおられました。しかし、この経験がないと自律性は伸びません。お父さん、お母さん、今一度我が子の子育てを振り返られてはいかがでしょう。
