「ダメ」「やめなさい」などの禁止語や「いい加減にしなさい」「早くしなさい」「さっさとしなさい」などの命令語を使わない、あるいはなるべく使わない、という子育て論があります。それを実践している幼稚園や認定こども園もあるようです。
なぜ使わないかと言いますと、ある幼稚園のホームページでは次のように述べています。
「子どもが親の言葉を理解できるようになると、親が望むような行動をさせるために禁止や命令する言葉が増えていき、子どもの心が育つ時期に子どもたちが耳にする言葉の多くが、禁止語と命令語になりがちになる。そうすると、子どもの意識を白いキャンバスだとすると、禁止語・命令語の言葉で埋め尽くされてしまう。これでは、子どもにストレスを与えるだけではなく、否定的なセルフイメージを与えることになる。なので、肯定的な言葉や思いを書き込んでいくことが自己肯定感を高めていくために必要である。」
この幼稚園では、禁止語や命令語を使わないですむように人的、物的に環境を整えているとのことです。
さて、療育教室 楽しい広場の「発達療育」においては、もちろん「禁止語、命令語を使いましょう」です。なぜなら、小学校に入学してから大人になり、社会の中で生活する上では当然「禁止語、命令語は必要になる」からです。
つまり、禁止語、命令語の言葉、言い方、使う状況、言われたときは当然気持ちの良いものではありませんがそのストレスに耐えることなどを、小さいうちから学んでいかなければなりません。これは極めて当たり前のことだと思います。
上記の幼稚園の考え方の中で、「親が望むような行動をさせるために禁止や命令する言葉が増える」としていますが、親は子どもが家庭で生活をしていくために、あるいは社会で生活するためにいろいろなことを「教え込んで」いきます。これはおかしいことではありません。そして幼児期の生活は禁止語や命令語も増えますがそれだけではありません。楽しいこと、うれしいこと、面白いことなどポジティブ(前向き)なこともたくさん経験していきます。その中で禁止語、命令語も使われるということです。
当たり前のことですが、適切に禁止語、命令語を使いましょう。「今日、子どもにダメと叱ってしまった」「早くしなさいと何度も言っちゃた」と落ち込んで、自分を責めるのはやめましょう。
療育教室 楽しい広場に相談に来られたお母さん方にいつもお話しするのは「素晴らしいお母さんになる必要はありません。普通のお母さんでいきましょう」ということです。
これが、療育教室 楽しい広場の基本的な考え方です。