子育て発達コラム 「大事大事に子育てしているお母さん」
- 崇弥 伊澤
- 1月29日
- 読了時間: 3分
このブログを読まれている方の中にも、子どもさんを「大事大事に育てている方」もいらっしゃることでしょう。一人目の子どもさん、病弱気味の子どもさん、やっと授かった子どもさん、理由は分からないけれどかわいくてしようがない子どもさんなど、それにはいろいろなご事情があることことでしょう。
さて、「大事大事に育てる」ことはもちろん悪いことではありませんが、実はこの場合も子どもさんの言葉の発達が遅れる可能性が考えられます。「大事に育てる」という場合、往々にして「あっ、これは少し難しいかも」「あっ、これは少し危ないかな」あっ、これは一人では無理」と、子どもさんがいろいろ経験をする前にお母さんが先回りしてやってしまう場合が考えられます。
こういうことが続いていきますと、お母さんだけではなく子どもさんにとってもそれが
当たり前になってしまいます。そうするとどういうことが考えられるかといいますと、子どもさんはお母さんがなんでもやってくれるので(「しゃべる必要がない」ということになります。発語前の子どもさんですと「伝える必要」「コミュニケーションする必要がない」ということになります。であれば当然発語やその後の言葉の発達も遅れることが考えられます。お家だけで過ごしている分には良いのですが、保育園や幼稚園、こども園などに入園して、他の子どもさんたちと生活していく中で、お母さんは我が子の言葉の発達の遅れに気が付くということが考えられます。
こういう場合、集団生活の中に入れば言葉が出てくるだろうという考えもありますが、多分それは難しいと考えます。なぜなら、「大事大事に」育てられた子どもさんの場合、お家ではほとんど自分の思う通りに生活していると考えられますが、保育園や幼稚園での集団生活では、当然自分の思う通りにならない場面が出てきます。大人である先生とのやり取りだけではなく、おもちゃの取り合いや順番を守るなど子ども同士のやり取りのときも出てきます。大事に育てられた子どもさんの場合、お家でそういう場面の経験がほとんどありませんから自分でどうしてよいかわからないと思います。ですので、そういう場合、固まってしまって何もしないか、逆に人のことは関係なく自分のやりたいように動いてしまうことが考えられます。つまり、子どもさん同士の「伝え合い」「コミュニケーション」に入っていけないので、言葉の発達は遅れることが予想されます。
では、どうしたら良いのでしょう。それには、お家での生活の中で今までとは違って「待つ」「我慢する」「自分で出来ることは自分でする」など、自分の思う通りにならない場面をどんどんつくり、その中で「自分を抑える」経験を経験させていきます。そして、そういう時どうしたら良いかを経験させることで、、当然お母さんと子どもさんとの間で「伝え合い」も増えていきます。「伝え合い」というのは言葉だけではなく、声や表情、動作、視線などいろいろな手段を使って相手と考えや気持ちを伝え合うことですので、言葉だけではなく人とのやり取りの経験にもなります。その経験が増えていき、保育園や幼稚園などで大人だけではなく友だちの意識が出てくれば、友だちとの「伝え合い」も増えていき、それにつれて言葉の発達も伸びていき、どんどんたくましくなっていくものと考えます。
やはり、かわいい子には旅をさせなければならない、ということでしょうね。