子育て発達コラム 「両手で耳を押さえたから聴覚過敏ではありません」
- 崇弥 伊澤
- 7 日前
- 読了時間: 3分
先日、大好きなお友だちと遊びたくてすぐ手をつかんでしまい、お友だちがびっくりしたり嫌がってしまったりすることが多くてどうしたら良いか、という幼稚園年中のお子さんの発達相談がありました。まだ、友だちとの距離感がつかめないということです。
お母さんからお話を伺っている中で、幼稚園の担任の先生や園長先生がそのお子さんを「発達障害児」と考えているようだ、ということが分かってきました。
実は、児童福祉法の中にある「障害児通所発達支援事業」の一つに「保育所等訪問支援」という支援事業があって、幼稚園にもその事業の一環として心理士の方が来られたそうです。そして、たくさんの子どもさんが遊んでいる中で、今回相談に来られた年中のお子さんが両手で両耳をふさいでいるのを見て(「聴覚過敏ですね」と言われたそうです。
幼児期の子どもさんを見ている我々のような発達を理解している上で早期療育を行っていこうとする専門の指導員や相談員は、初めて見る子どもさんがたくさんの子どもさんが遊んでいるところで両耳をふさいだからと言って「聴覚過敏ですね」とは決して言いません。その子どもさんの普段の生活の様子、成育歴などを把握した上で聴覚過敏の可能性があるかを判断します。何度も申し上げますが、一度見たからと言って「聴覚過敏である」とは決して判断しません。
今回のお子さんの場合、幼稚園の担任の先生が、幼稚園に来られた心理士の方がそのお子さんが「聴覚過敏である」ということを聞いて、聴覚過敏=発達障害児と考えられて、友だちとの距離感がつかめない今回相談に来られたお子さんを「発達障害児である」と固く信じられて、「そのようなお子さん(発達障害を意味する)に関する専門の知識はないので療育をお勧めします」の一点張りだそうです。
このお子さんの場合、二度医師に診てもらう機会があり、二度とも「特に問題があるとは思われない」という見解だったそうです。今回の発達相談の中で一緒にパズルや絵カードで遊んだりお絵かきをしたりするときも、相談員とやり取りをしながら楽しくかかわっていました。障害があるという様子でもありませんし聴覚過敏があるような様子も見られませんでした。友だちとの距離感がつかめないのは発達の個人差の問題で、これから経験を積めば距離感がつかめてくるということをお母さんに申し上げました。
母親としてどのようにかかわっていけばよいか、ということを質問されたので、「口うるさいお母さん」と思われるかもしれませんが、その都度「それだとお友だちが嫌がるでしょう?」「お友だちもびっくりするよね」などと説明をしてあげることが大切であることをお話いたしました。
今回のご相談は、子どもさんたちの発達の不安を「障害からしか見られない」と、とんでもなく偏った幼児教育になることを物語っています。そして、そういう偏った幼児教育にならないために、「子どもの発達の流れ」というものを、我々早期療育そして幼児教育に携わるものがしっかり身に付けていなければならないということを肝に銘じなければならないと今更ながら強く感じた次第です。