ここでは、子どもが「どのようにして言葉を出すようになるのか」を説明いたします。
我々発達療育では、言語発達を考える上で「社会的相互作用を重視する言語発達論」を基本にしています。この理論の特徴は、養育者の役割を重視するのではなく、社会的相互作用の中で発揮される、子ども自身が本来もっている能力である「他の人の意図を理解し推測する能力」を重視します。
この理論を基本にして、発達療育では言語発達の上で、子どもさんとお母さんや養育者とが興味の対象や経験などで「注意を共有し、伝え合う」ということができているかを重要視します。
「伝え合う」ということは、基本的に子どもさんとお母さんが、お母さんが発する言葉以外に、声・動作・表情・視線・しぐさ・雰囲気などのいろいろなコミュニケーション手段を使い、お互いに意思や考え、感情などの心の状態(意図)を感じ取り、伝え合うということです。
この時に言葉の発達において重要な二つの要素が含まれます。
一つは「言葉以外のいろいろなコミュニケーション手段を使って伝え合う」ということが発達していくこと。そしてもう一つは相手の心の状態(意図)を感じ取りながらかかわっていくという、繊細で高度な「意図的コミュニケーション」が発達していくということです。
この二つの重要な要素を含んだ「伝え合い」を積み重ねることによって、その延長上に「発語」そして「言葉を使ったコミュニケーション」が発達していくと考えます。