top of page
日記

​楽しい広場のブログ

子どもにとって、「食べ物」と「ぬくもり」のどちらが重要か?

  • 執筆者の写真: 崇弥 伊澤
    崇弥 伊澤
  • 2024年12月18日
  • 読了時間: 2分

 前回のブログ「なぜ、子どもはかわいいのでしょう?」の中で、親子の間に形成される愛着関係が、生得的に備わっているのではないか、というイギリスの児童精神科医ボウルビィの考え方を紹介しましたが、今回はそのボウルビィの考え方の妥当性を立証したと言われている、サルの乳児に関する実験を紹介いたします。


 それは「ハーロウの一連の実験(Harlow,1958年)」と呼ばれるものです。

 彼は生後間もないうちに母ザルから子ザルを引き離し、その子ザルをミルクを与えてくれる金網でできた代理母(模型)と、ミルクは与えてくれなくても暖かい毛布でできた代理母とがいる状況に置き、その様子を観察するという実験を行いました。結果は、ミルクを飲みに行くとき以外、子ザルは金網製の母親には近づかず、大半の時間を毛布製の母親にしがみついて過ごし、時にはそこを活動の拠点(安全基地)として様々な探索行動を行うというものでした。


 つまり、子ザルには栄養を確実に与えてくれる存在よりも、接触による慰めや安心感を与えてくれる存在にくっついていることの方が「重要」だったと言えます。この実験について、サルと人間を一緒にすることはできない、とおっしゃる方もおられると思いますが、私としてはこの実験は母と子という親子の関係が人間にもある以上、重要な参考になると考えます。


 そしてこの「接触による慰めや安心感」、言い換えると「ぬくもり」は、人間の子どもそして更には大人にとっても重要であり、なおかつ生涯大事にしなければならない、淡くそして貴重なものですね。「ぬくもり」をどうやって与え続けられるか、自分で感じ続けられるのか、これは発達心理学では答えは出ませんね。一人一人の生活の中にそれぞれの答えがあるのだと思うのですがいかがでしょう?


(参考文献)

  無藤 隆、久保ゆかり、遠藤利彦 著:「発達心理学」、岩波書店、1995年







 
 

最新記事

すべて表示
11月9日(日)療育教室を行います

11月8日(日)、札幌市社会福祉総合センター 第1会議室で、楽しい広場の療育教室(こども発達相談、ことば伸び伸び教室)を行います。  子どもさんには、それぞれ「発達の地図」があります。そしてその中の個々のお子さんの「発達の現在地」を探し、そこから言葉の遅れやコミュニケーションの不安、多動、友だちとトラブルが多い、先生のお指示が通らないなどの発達の不安の原因を見つけ出し、そこから発達の不安を改善して

 
 
子育て発達コラム「3才児から自分の行動をコントロールし始める」

発達心理学では、3才頃からどんどん伸びていく「自分で自分の行動をコントロール能力」を「自律性」と呼んでいます。  一般的に「自分で自分の行動をコントロールする」という場合、2種類あると考えられます。一つは「自分のため」、二つ目は「人とのかかわり方のため」  仏教の曹洞宗の大本山である永平寺では、長い間雲水(修行僧)の厳しい修行が行われています。映像や本などでその厳しさは伝わってきます。しかし「本当

 
 
10月26日(日)に療育教室を行います。

10月26日(日)、楽しい広場の療育教室(こども発達相談、ことば伸び伸び教室)を行います。会場は、札幌市社会福祉総合センター 第1会議室で、料金は1時間3000円です。  療育教室 楽しい広場では、言葉が遅い、コミュニケーションが不安だ、多動で落ち着きがない、友だちとトラブルが多い、先生の指示が通らないなどの、子どもさんの発達の不安に関して、その原因を「発達の個人差」から考えていきます。  子ども

 
 
 現在、事務所を札幌市厚別区に置きながら、主に札幌市社会福祉総合センターの会議室をお借りして、こども発達相談やことば伸び伸び教室、療育セミナーや、
療育カウンセリング、講演などを行っております。
お問い合わせは、電話、又はメールでお問い合わせください。
(事務所電話)
(メールアドレス)
乳幼児の発達の遅れや発達障害に関する個別の療育相談について、札幌市で活動をしている

NPO法人 療育教室 楽しい広場 

です
©2023 NPO法人 療育教室 楽しい広場
bottom of page