オウム返し(エコラリア)は本来、だいたい1才半くらいのころ、大人の会話全体の調子を真似し、連続的な音の流れから意味をもつ単語だけ選択的に模倣することを言います。つまり、お子さんには誰にでもあることで、発語の入り口と言えるかもしれません。
さて、発達的には当然あり得る「オウム返し」が、なぜ言葉の遅れの不安となるのでしょうか?
幼児期に「オウム返し」が問題視されるのは、子どもさんたちが話し始めてからのことになります。つまり3才・4才頃言葉で会話ができるようになっている子どもさんにオウム返しがある場合です。
原因は二つ考えられます。一つ目は、知的障害がある場合です。その時の特徴はだれに対しても同じ言葉を繰り返し発するということです。例えば先生や友だちにあいさつされたとき、朝であろうがお昼であろうが「おはよう」「お家どこ」「何食べた?」などと誰に対しても同じような言葉を言う場合です。これは、知的な遅れによる理解不足、ボキャブラリー(語彙)の少なさが考えられます。
そして、もう一つです。知的な発達に遅れはないけれどオウム返しが出るという場合です。この場合はその子どもさんが「視覚優位」である可能性が高い場合です。もし、視覚優位のお子さんであるとしたら、これまでもブログで説明をしてまいりましたが、お子さんの頭の中には大好きなアニメや大好きな恐竜の図鑑の絵、大好きな車の膨大な種類の写真など、視覚情報があふれていると考えられます。
もし、そうであるとしたら、先生や友だちと話をしているときでも、自分の頭の中のアニメの動画のことが気になって、相手の話をよく聞いていない時があるということです。つまり相手の話を「聞いていない」ということになります。そうであれば、自閉症のどの発達障害ではないということです。
改善の方法は、お母さんや幼稚園・保育園の先生などの大人と遊びなどを通して地道に会話を重ねていくことにより、相手を意識しての会話が身についていくと考えます。