1983年にアメリカのカウフマン博士によって作られた「KーABC」という知能検査があります。現在日本でも使われている知能検査の一つです。この「KーABC」という知能検査の理論の中で、人間がみなもっている認知処理機能の類型として「同時処理機能」と「継次処理機能」の二つが挙げられています。定義は次のようなものです。
【同時処理機能】
・複数の情報をまとめ、視覚的・運動的な手掛かりを使って全体としてとらえ、処理していく。視覚的な記憶力、全体を部分に分解する能力、空間認知能力などに結び付いていると考えられる。
【継次処理機能】
・連続した刺激を聴覚的・言語的な手掛かりを使って一つずつ分析し、処理していく。短期記憶、情報の系列化の能力などに結び付いていると考えられる。
「KーABC」の知能検査では、検査結果で「同時処理機能」と「継次処理機能」のどちらが強いかが分かります。通常、この二つの機能のうち「継次処理機能」が強いと言われていますが、中には「同時処理機能」の方が強い人がいます。当然子どもさんにもいます。我々の発達療育では、「視覚優位」と言われている子どもさんは、この「同時処理機能」が強い子どもさんではないかと考えています。つまり、「同時処理機能」が強いとしたら、「視覚優位」の特徴は十分考えられるということです。