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日記

​楽しい広場のブログ

かわいい子には旅をさせましょう

 だいたい3才から4才代のお子さんで、「幼い」感じのお子さんがおられると思います。同じ生活年令の子どもさんたちより、言葉が遅い、会話についていけない、友だちが遊んでいる中に入っていけない、集団活動の中でついていけない時がある、などです。

 このような子どもさんが、幼稚園や保育園、認定こども園などで発達の不安を指摘させれる時があります。大きく二つの場合が考えられます。

 まず一つは、集団活動のとき「自分のやりたいことだけをする、気の向くまま動き回る」ようなお子さん。もう一つは、例えば自分が遊んでいたおもちゃを友だちの取られるなど、自分の思う通りにならない場面に遭遇すると固まってしまうお子さんです。


 この「幼い」感じがする子どもさんに共通するところがあります。それは、お母さんやお父さんがおうちで、お子さんを「大事に育てよう」「のびのび育てよう」「子どもの気持ちに寄り沿って育てよう」と考えた結果、「子どもさんの要求に沿って生活を送っている」ということです。

 どうしてわかったかと言いますと、発達相談などでおうちでの生活の様子をたくさんのお母さん、お父さんから伺ったからです。

 さて、おうちで子どもさんが毎日の生活を「自分の要求に沿って」送っているとしたら、大きな問題が出てきます。それは「自分の思う通りにならない場面を経験していない」ということです。おうちでは、それが当たり前で問題はないかもしれませんが、幼稚園や保育園、認定こども園など、たくさんの子どもさんがいる場所に行くと、上記の二つのような発達の不安が出てくることは容易に想像できます。

 普通、1才半あるいは2才になってくらいから、子どもさんの活動量や範囲が大幅に増えてくると、それまで「かわいい、かわいい」と言って子どもさんに合わせていたお母さんもそうばかりは言ってはいられなくなり、「ちょっと待ってて」「少し我慢しなさい」などという場面が当然出てきます。ここで初めて子どもさんは「自分の思う通りにならない経験」をします。これはだれしも楽しい経験ではありませんが、その経験を積み重ねていって、人とのかかわり方を学習し、「待つ、我慢する」ということも学習していきます。


 しかし、本来であれば経験しているはずのこの経験をほとんどしていないお子さんがいます。それが「幼い」感じのお子さんです。この「自分の思う通りにならない場面」を経験し、人とのかかわり方を学習し、「待つ、我慢する」を身に付けることが、幼児期の子どもさんに「旅をさせる」ということです。普通は自然に生活の中で幼児期の子どもさんたちは「旅をしている」のですが、「幼い」感じがする子どもさんは、本来しているはずの「旅をしていない」と考えられます。

 であれば、「幼い」感じがするお子さんがいれば、お母さん、お父さんは勇気をもって「かわいい子には旅をさせましょう。」具体的には、生活の中で普通に「自分の思う通りにならない場面」を体験させ、「待つ、我慢する」を身に付けさせていくということです。それによって、子どもさんは大きく成長していくと思います。







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