療育教室 楽しい広場の発達相談では、
[子育てのとき、お母さんのアドバンテージがありますよ」
「子どもさんは、お母さんの安心感の上で活動を拡げていきます」
「子どもさんが活動をする上で、お母さんが安全基地になっています」
というような言い方をいたします。つまりは、「子どもさんの活動においてお母さんは中心的なかつ重要な存在です」ということです。
人間の親子には「愛着関係」という緊密で情緒的な関係があります。それによって、本来無防備で独力では生きていけない乳児は生きていくことができるのですが、その中心がお母さんであるということです。ではなぜその中心がお母さんなのか? 「もともとお母さんはそういう存在なのか?」といいますと、そうではありません。
発達心理学の中で、1970年代を中心に、イギリスの児童精神科医のボウルビィという人が提唱した理論があります。
それは、カモやガンなどの鳥の雛が生後間もない時期に「最初に出会って接触による慰めや安心感を与えてくれる存在」としての対象(親鳥ではなくとも人間でも良い)の後追いをし、絶えずくっついていようとする現象が知られていますが、人間にも同様なことがあるのではないかと考えました。
そして、人間にも「最初の接触による慰めや安心感を与えてくれる存在にくっついていることが重要である」という理論を提唱しました。そう考えると、その存在はだいたい「お母さん」になるということです。ただし、事情によっては、それが「おばあさん」になったり、「お父さん」になったりすることもあり得る、ということです。
療育教室 楽しい広場では、このボウルビィの理論を基本にしています。
例えば相談に来られたお母さんに「一日の中で、もう少し子どもさんと遊ぶ時間を作ってください。ただしそれは5分でも10分の短い時間でも大丈夫です。」ということをよく申し上げます。この「5分や10分の短い時間でも大丈夫」というのが、「お母さんのアドバンテージ」なのです。
これまでにもフルに働かれているお母さんにこのことをお願いして、子どもさんが何人もどんどん変わっていきました。お母さんが倒れるまで頑張るという必要ありません。毎日、今よりちょっと頑張ってみてください、ということです。
最後に一つ付け加えることがあります。「お父さんのかかわりは重要ではないのか?」という質問があるかもしれません。それはもちろんお父さんのかかわりも大切です。ご夫婦で協力して子どもさんにかかわることは大歓迎です。
今回は以上です。