こどもさんが誕生して6か月くらいになると、いろいろな発達が伸びてきます。発達の一つの節目というものですね。例えば、それまで寝ているか座っているかだったのが自分で腹ばいをし出だします。それからおもちゃなど興味があるものに手を伸ばしてつかむようになります。そして今回のテーマの「いないいないバー」を楽しむことができるようになります。
例えば、こどもさんの前に白いタオル(もちろん黄色でも赤でもOKです)を広げ、お母さんがそこでそのタオルでご自分の顔を隠し、「いないいないバー」と言った後、そのタオルを取るとこどもさんにお母さんの顔が見えて、こどもさんは大喜びをする、というものです。
こどもさんが小さいときよくやったね、と懐かしむ方も多いでしょう。本当にこの単純な遊びをこどもさんたちは喜ぶのですね。おかあさんとこどもさんが楽しさを共有するということ、そしてそれと同時にお互いの表情、声、視線、言葉のニュアンスなどを感じ取っていくのですね。これはコミュニケーションの第一歩です。
この「いないいないバー」は、認知的な発達の面で重要なポイントなのです。それは「物が見えなくても物はそこにある」ということが分かるということを意味します。これを「物の永続性」と言います。「いないいないバー」を繰り返していくうちに、タオルでお母さんの顔見えなくなっても、そこにはお母さんの顔があるということが分かるということですね。これは、認知的な発達の面では、その後の発達に重要になる「象徴機能」、つまり「あるものを別なもので表す」という力につながっていきます。具体的には、頭の中でもつイメージ、そして言葉などがそれにあたります。
ただ、まずお母さん方には、その意味よりもまず「いないいないバー」で楽しんでほしいですね。発達療育ではお母さんのアドバンテージがあると考えます。ですから、一日30分も1時間も遊ばずとも、5分、10分で十分です。子どもさんは喜んでくれます。
特に一人目のお子さんのお母さん、楽しんでくださいね。